そこへいくと岩手県は、大水族館こそ在りませんが、小さなモノが県内に3館もあると言う事で、今回のターゲットに決めたのです。
3つのターゲットはそれぞれ
と、いうのです。
しかもこの3つはリアス式海岸沿いにあり、もしかすると1日で3つ廻る事も不可能ではないかも知れません。
が。
よく調べてみると、この3つの内、もぐらんぴあは盛岡を挟んで他二つとは反対の所にあり、そこに行く為には他二つを諦めねばならない事が分かり、 仕方なく初日は、残り二つを見て回る事を選択したのでした。
で、10日の夜、東京駅に降り立った私は、夜行バス「らくちん1号」に乗り込み、一路、盛岡を目指します。
東京駅周辺は非常に蒸し暑く、汗が滝の様に吹き出してきます。
折角風呂入ってから来たのに。
夜行バスってのは正直、なかなか寝られません。
狭いし、動けないし、ガクガク酷く揺れるしで、体力が削られていきます。
「目的地をGAOにしておけば、寝台電車が使えた(眠れた)のに…」
とか思いもしましたが、今更それは詮無き事。
あ、そうそう。
今回、時間潰しがかなり必要だろうと思われましたので、予め時間潰し用の書物を購入していきました。
チョイスの理由は……特にありません。
本屋さんで目に付いたので、何となく。
辛く、苦しい7時間が過ぎ、ようやく盛岡へ着きました。
到着したのは朝6:30。
7:25分発の高速バスに乗りたいので、今の内に朝食を済ませておきたいところですが、流石に早朝ではやっている店など殆ど在りません。
仕方がないので立ち食いソバです。
やや惨めな朝食。
高速バスでぐーすか揺られ、宮古駅から更にバス。
浄土ヶ浜に辿り着けば、目指す水産科学館まで後一息。
浄土ヶ浜からきっつい上り坂を登る事500M、遂に目指す岩手県立水産科学館に到着です。
意外に立派な建物です。これで入館料は300円!
何と高千穂淡水魚館クラスです。
実に良心的であると言えましょう。
でも、中に入って少し納得。
この、手前部分だけが水族館
あ”〜(汗)
いや、決して悪いモンじゃないんですよ?
実際は奥の漁業展示コーナーがメインで、手前の水族館部分はオマケの「おさかなコーナー」だと判明し、少なからずショックを受けはしましたが、奥の展示物も充分に興味深く、面白い物でした。
気を取り直して見ていきましょう。
入って目の前にあるのが「三陸の魚」水槽。
中にいるのはホシエイ、アンコウ、ゴマフグ等。
特に目を引いたのがこの
尾鰭の無いウマヅラハギ。
何が理由で尾鰭が無いのかについては説明が一切ありませんでしたが、
特に問題も無く元気に泳いでらしたんで、まあ良しとしましょう。
他には小さめの水槽が幾つかあって、色々いましたが、如何せん小さい。
ピラニア・ナッテリーの幼魚。
ここまで小さいと、かなり可愛いですな。
折角なので、奥の博物館も少し。
昔の漁船があったり……
水深に見合った魚の模型が配された「ジオラマ」が在ったり……
トド(剥製)がいたり……
まあ、概ねこんな感じでした。
浄土ヶ浜という最果て(失礼)の、更に勾配のきつい斜面の上に在り、地元の方でなければ来るのはかなり困難です。
また、明らかに水族館ではなく資料館に寄っているので、私の旅の目的とは、多少違うのかなあ等と考えてしまいました。
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バスの時間まで少しあったので、宮古駅近くの食堂でお昼にしました。
海鮮丼が激ウマでした。
ちなみに、宮古、岩手船越共に電車もあるのですが、1〜3時間に1本とか言う巫山戯たスケジュールなので、あてにしていると日が暮れます。
バスで結構な時間揺られて岩手船越の駅に着き、そこから800Mくらい歩いたでしょうか。
ようやく見えてきました鯨と海の科学館。
休館日!
や"ら"れ"た"────!<T□T>
さて、2日目ですよ。
もぐらんぴあに向かいます。
もぐらんぴあは石油備蓄基地の一部を利用して造られた地下の博物館。
メインはあくまで石油関係の資料館なのですが、それと同じくらいのスペースで地下水族館も存在しているのです。
ただ、
遠い。
物凄く。
もぐらんぴあのある久慈駅自体も、盛岡から新幹線「はやて」で1時間掛けて八戸へ行き、そこから2時間八戸鉄道に乗ってやっと辿り着く程なのに、久慈駅から更に6.5km。
その方向へ行くバスはありません。
つまり、徒歩orたくすぃ。
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……歩きましょう、6.5km!
キノも新潟駅から新潟港まで歩いたし!
後々気付いたんですが、「学園キノ」に寄れば、新潟駅から新潟港までは4キロ余りだそうな。しかも片道。
私は片道6.5kmを往復したので13kmですね。
キノに勝ちました!
今、7月で、夏なんで、暑いです。
梅雨明け前とは言え、炎天下の道路を延々と歩いていると、汗がだくだく。
だくだく。
おお、だくだくだくのだく。
道を間違えたのではないかと不安になるほど歩いて、ようやく見えてきましたもぐらんぴあの手前にある「もぐらんぴあさわやかトイレ」
「なにがさわやかじゃいといれにさわやかもへったくれもあるかいなめとんのかわれ」
とか思いながら入ってみると、
すずし〜♪
冷房効いてるよー。
おまけに手を洗う水もキンキンに冷たいよー♪
ありがとう、さわやかトイレ♪
さあ、爽やかになったところで、いよいよもぐらんぴあに入ります。
「地下」と銘打っていたりしますが、隣接した断崖の中に入っていっているので、登ったり降りたりは無いです。
石油ってのは大昔からの財産なんだよーと言う事で……
入って正面にある、この水族館唯一の比較的大型な水槽。
「サンゴ礁の魚」と銘打たれ、中の魚は8割方何らかのチョウチョウウオ。
何かこだわりがあるのでしょうか。綺麗っちゃキレイですが。
「カリブ海の美しい魚たち」
なお、矢印の示しているのはルックダウンと言う魚。
美しいというか……奇怪な顔だよなぁ。
で、ここの目玉であるトンネル水槽に行きましょう。
すげー。
噂によると、あの「伊東に行くならハ・○・ヤ♪ 電話はヨイフロ♪」のキャッチフレーズで有名な○トヤホテルの海底温泉が、こんな感じだと。
綺麗なんですけど、スペースの関係上でしょうねえ。
薄いんです。
トンネル温泉水槽に、日本の魚に混じって何故かナポレオンフィッシュが居たりするんですが、それは華麗にスルーして、一番奥の暗闇の中に鎮座しているのが
この
「熱帯地域の魚たち」
アジアアロワナ、ノーズガー、レッドテールキャット、プロトプテルス・ドロイ(肺魚の仲間)が同じ水槽にッ!!
これは、地味に凄いですよ。
普通の水族館では、彼等1品種に1水槽を割り当てているのが普通です。
みんなデカくなるしね。
それが一堂に会しているなんて……
「こんな水族館観た事ねぇ!」
いや、本当に凄いです。
ちょっとしたオールスターですよ。
ドリームチームです。
いや、良い物を見せて頂きました。
かくして感動の内にもぐらんぴあを出ると、再びあのとんでもなく長い道を歩き、久慈駅に着くと電車は後2時間来ないと言う。
タクシーで最寄りの新幹線停車駅まで行くなら1時間で付けるが、料金が1万ウン千円。
ほとほと困り果てていると、何と5分後に新幹線停車駅に行くバスが出るという。
所要時間は1時間余りで、料金は1400円。
何という……偶然!
お陰で思いの外スムーズに花巻温泉の宿に戻ることが出来ました。
きっと日頃の行いが良いからでしょう。
そうに決まっとる!
朝一番でチェックアウトを済ませ、向かった先は気仙沼。
宮城県の外れに位置し、帰りがけに寄って行くにはもってこいだと思われたのですが……
……やはり交通の便が悪く、実に遠いです。
朝7:59分発の電車で花巻を出まして……目的地である南気仙沼駅に着いたのが12時過ぎ……
今回の旅は、かなり極端に観光<移動ですな。
でも、駅からは近かった。
5〜6分も歩けば、海鮮市場海の市が見えて参ります。
1階は魚市場で、お魚が買えます。
この時期はホヤやウニが旬でしたが、流石です。マンボウやこんな物まで売ってます。
モーカの星……何とコレ、サメの心臓です!
すげー、食べてみたいなあ。
で、
その2階にあるのが気仙沼リアスシャークミュージアム、1階の市場の端にあるのが、氷の水族館です。
リアスシャークミュージアムは、日本で唯一の、サメのみに特化した博物館。
正確には水族館ではないのですが……ま、ここはサメ好きの私に免じて。
入り口からして飛ばしてます。
中に入ると、いきなりホホジロザメの模型がお出迎え。
周囲に置いてあるのは、サメ(主にイタチザメ)の胃袋から出てきた物品。
牛なんかの頭骨を始め、亀や箱、金属部品など……かなり節操がありません。
模型の歯は、本物を使用しているそうで、怪我をしないようにと注意書きがありました。
5分間隔で上映される、ダイブトークシアター。
サメの主な種類やちょっとした生態、特徴などを何と怪人海神ポセイドン様(自称)が紹介してくれます。
ポセイドン様(自称)です。
ちなみに、その向かい側には
小さいですが、サメ水槽があったりします。
中にいるのはツマグロ、ドチザメ、そしてネコザメです。
ヒレの端っこが黒いのが、ツマグロね。
幼魚であるらしく、サメらしい外見なのに小さいのが非常に可愛らしい。
このステキなトリオは、左から、
……と、言うモンなんだそうな。
鮫を象った祭器や鮫の歯を使った装飾品が展示されているコーナーで発見しました。
サメの歯ブレード!
鮫の歯を刃として取り付けているんですね。
殺傷力はともかく、格好良いので誰かRPGとかで出しませんか?
他にも鮫に関する書物があったり、顎や皮膚の展示があったりと、なかなかに盛りだくさん。
最後の方にあったのが、この食物連鎖の絵でした。
まあ、大体オチはお判りでしょうが、コレ、人間です。
他の動物の立場に立って考えてみると、人間って怖いですな。
初めての遭遇では、まず攻撃してくるし、
何か人間にとって有益なモノを持っていると知られれば、絶滅寸前まで(或いは絶滅まで)乱獲される。
絶えかねて反撃をすれば、それが些細なモノであっても大挙して押し寄せ、殲滅しようとする……
本当に、私は人間であって良かったと思います。
・
・
・
次に行くのは、その下の魚市場の一画にある氷の水族館。
中はマイナス20℃。
まあ、業務用冷凍庫って所でしょうか。
シャレにならないくらい寒いので、入り口でこの防寒着を借りて、コレを来て入ります。
フリージング・コフィン!
館内には氷の棺の中に封じ込められた、大小様々な魚が……
サンマやタラバガニや……マンボウまで!
こっちはアカマンボウ。
同じマンボウと名が付く魚なのに、こちらは随分形が違い、また水族館でも余り見かけませんね。
まあ、あんまり華がないですしね。
こっちへおいで…
出口付近に鎮座しているペンギンの剥製。
黄泉からの使者のようで、何か怖いです。
中は一室のみで、正直満足にはほど遠いのですが、まあ、たまにはこういうのも有りって事で。
かくして海の市を去った私は、帰還する為に気仙沼駅を目指したのでした……が。
遠い。
物凄く遠い。
遠過ぎ。
最寄り駅の南気仙沼駅を通る電車が余りに少ないモノですから、もう少しマシな気仙沼駅を目指したのですが、コレが思いっきり遠かった。
歩いても歩いても駅の気配もなく、蒸し暑さで汗が滝のように流れる。
ちょっとした不審者の如く汗をかきながら、ようやっと駅に辿り着きました。
するとどうでしょう。
この交通の便の悪い気仙沼で、
私の求める
一ノ関(最寄りの新幹線停車駅)行きの電車が、何と10分後に出ると言うではありませんか!
きっと私の日頃の行いが良いからでしょう。
そうに決まっ(略)
ま・と・め
かくして新幹線に乗り、今回の私の旅は終わりました。
初日で鯨と海の科学館が休館日だった時には、
「今回の旅は失敗か?」とか思ったくらいでしたが、
終わってみれば3+α館も水族館(?)を廻れたし、温泉も満喫できたので、かなりステキな体験でした。
……良い運動にもなったしな。
今後、岩手を訪れようという人にアドバイスをするとすれば、
充分な時間か予算、或いは運転手を用意しておけ
って所ですね。
じゃないと充分に楽しめないですよ。
〜Fin〜