ただ、ここの所規模の大きい水族館はご無沙汰だったので、美ら海以来の大水族館。
期待大です。
あ、あと正式名称は「ふくしま海洋科学館・アクアマリンふくしま」らしいです。長い。
さてさて。
福島と申しましてもこのアクアマリンふくしま。
最寄り駅はいわき市の南方の泉駅。
地理的には茨城の北端と言っても良いほどで、関東者の私にとっては、まっこと嬉しい限り。
直行バスは無くなってしまったらしいのですが、割と近くまで行くバスがあるので心配は無用です。
さあ、バス停から7〜8分くらい歩いて、見えてきましたアクアマリン!
でかァ〜〜〜い! 説明不要!!
天井がガラス張りで高いので、必要以上にでかく見えるのですな。清潔感溢れる外見で、大洗や名古屋港に匹敵する威圧感を覚えます。
エントランスホールには何故か鯉のぼり。
いやしかし、こんな入ったばかりの所で驚いてなどいられませんな。
気を取り直して奥へ進みましょう。
アクアマリンふくしまは、「環境水族館」と銘打たれ、入り口には「環境水族館宣言」という掲示がされています。
紙が一枚貼られているだけなので気付きにくいのですが、この水族館が目指す理念と目標が
何じゃこりゃァ!?
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……失礼いたしました。つい取り乱してしまって……
この怪じゅ……巨大魚の模型は、入ってすぐの「海・生命の進化」コーナーにある板皮魚類の
大昔の魚で、この顔がこのまま化石化しているくらいですから、もう、正に装甲ですよ。
当時最強クラスの捕食者であったと考えられます。
BGMは「ジョーズ」
このコーナーは古代からの生物に重点を置かれているようで、他にも古代生物の化石を始め、オウムガイやカブトガニなどの所謂「生きている化石」も飼育・展示されています。
なお、
アムール、ヘラ、シロの各種チョウザメも取り揃えております。
やや暗く、涼しげなこのコーナーは博物館チックで、お客の心を掴むには最適です。
何か「学ぶぞ」って気になれます。
ただ、お盆なのでね。
人が多い。
エスカレーターを登って4Fへ出ると、燦々と太陽の降り注ぐ「ふくしまの川と沿岸」コーナーへ。
山や渓流、川が再現されたコーナーなのですが、観覧スペースが小さいのと人が多いのでやむなくカット。
断腸の思いで進んでいくと……
見よ、この膨大な量の鰯を!
アクアマリンふくしまの目玉である、「潮目の大水槽」上部を泳ぐマイワシの群。
しかし、間近にこんなおびただしい鰯の群が元気に泳いでいるのを見ると……
実に旨そうですね♪
「水族館をまるごと楽しむ」によると、水族館で魚を見て「美味しそう」と感じるのは、魚食文化圏独自の感覚らしい。
肉食文化圏である西洋人にはこの感覚は無いんだそうですよ。
さて。
もう少し先に進むと、次のエリア「北の海の海獣・水鳥」のコーナーが見えて参ります。
ここにいるのはトドやセイウチ、アザラシなどの海獣や、海鳥のエトピリカ等です。
この時、たまたまセイウチのおやつタイムで、飼育係の人が何かを投げています。
「何かなー」と思いきや、何とコレが
氷!
普通のダイス氷を飼育係の人が水面に向かって投げると、セイウチはそれを歓喜の声を挙げながら(コレが実にウルサイ)貪り食うのです。
セイウチ君の声がうるさいので、次に進みましょう。
次にあるのは漁業関係のコーナー。
非常に博物館チックですが、生き物が居ないので素通りして、
ザ・シーラカンス!
ザですよ、「ザ」!
力の入り方が違います。
模型や資料、また生きて泳いでいるシーラカンスの映像などが公開されていて、いや本当に力が入っている。
世界最大のシーラカンスの仲間の頭部の化石の複製標本。
いやあ、「の」が非常に多い。
推定体調はおよそ4M。ピラルクーの成体クラスですね。
いや、実にデカイ。
環境水族館の名に恥じぬが如く、ここにも在りました環境問題コーナー。
資料自体には特に真新しい物は無かったのですが、ステキだったのが、コレ。
左が南極の氷。右がオホーツク海の氷。
南極の氷の傍らにはペンギンのフィギュア、オホーツクの方にはゴマフアザラシ(幼体)のフィギュアが!
コレは可愛い。やられました!
この潮目の大水槽、向かって左の親潮水槽と、右の黒潮水槽から成り立っており、マイワシやカツオ、エイ、オニカマス、ダイバー等が居たのは黒潮水槽の方。
では、親潮水槽の方には何が居るのかというと……
こんなのが居ます。
マボヤの養殖
ホヤは塩辛や酢の物などで、珍味として食べられていますね。
実が赤く、ちょっとグロくてクセがあるので私的にはちょっと微妙……
いや、勿論他にも居ますよ。
ホッケ
開きが非常に旨い居酒屋メニュー。本当に旨い。
……何故食材としての話になる!?
いや、旨そうなのでね。
この二つの水槽の間には、間を抜けて通り抜ける、いわばトンネルがあります。
が。
コレが何と三角形!
ドーム型ってのはよく見かけますが、三角形なのはここが唯一なのだそうな(2006年現在)。
コレの良いところは光の屈折が少なく、ドームのように見る位置によって魚の姿が歪んだりしない事。
また斜面になっているのでかなり目の前まで魚が来ることです。
逆にデメリットとして、斜面故に下方を向いているとガラスに頭をぶつける危険性がある事が挙げられます。
事実、こんな注意書きが……
みんな、良くぶつけるんだろうなあ。
さて。
この次こそ、ここアクアマリンふくしまの真の主役。メインイベンターの登場です。
それこそ鴨川シーワールドのシャチ、八景島のベルーガ、鳥羽のジュゴン、美ら海のジンベエザメ、海響館のフグ等と並ぶ、正に話題性たっぷりのヒーローです。
では、ご覧下さい!
サンマ
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ああっ! 待って! 帰らないで!!!
まあ、取り敢えず落ち着いて下さいな。
じ……じゃあ逆に訊きますが、今までに生きているサンマを水族館で見た事がありますか?
ね、無いでしょう?
サンマは飼育が極めて難しいのです。鱗が取れやすく、網ですくう程度で容易く死にます。寿命も一年程度と短いです。
アクアマリンは世界で初めてサンマの飼育、繁殖に成功し、公開している世界唯一の水族館なのです(2006年現在)。
繁殖賞まで取ってるんですよ。
あと、サヨリも。
そんな訳で、この水槽では、サンマとサヨリが飼育されています。
人の姿を嫌う為、展示コーナーはほぼ真っ暗。
目を凝らしてよく見てみると、サンマの口先が皆、切断されています。
ほぼ全ての個体がそうだったので、事故や怪我ではなく、仲間同士で刺さったりぶつけたりしないような措置なのではないかと思われます。
サンマ水槽を後にすると、もう少しコーナーがあります。
福島市の魚、マルアオメエソ。通称メヒカリ。
3つのヒレで健気に立つその姿は、非常にぷりてぃ。
深海性の魚で、コレも世界で初めて長期飼育に成功したとか。
日本の水族館はレベル高いなあ。
あ、因みにメヒカリは唐揚げや天ぷらなどにして食えます。
美味です♪
そして
スルメイカの大群。
群がりつつ、ふよふよとたゆたっていて……
実に旨そうだ!!
……何でこの水族館は、ラストになって怒濤の如く食材系で攻めて来るんだろう?
どんどんお腹が空いてきましたよ、私は。
さて、お腹も空いたんでそろそろ帰ろうかと思いきや、出口付近で待ちかまえるは
金魚、金魚、また金魚!
ガラス誕生以前、金魚は上から見て楽しむモノだったと言います。
ここでは、横からは勿論、上からも金魚を楽しむ事が出来るよう、工夫が成されていました。
「アクアマリンふくしま」は、久々に訪れた大型水族館と言う事もあり、感動しながら楽しく見る事が出来ました。
世界初の試みや成果も多く、見た目に美しく、また向学心も満たしてくれるステキな水族館だったと思います。
各コーナーに配されたパンフレット(?)も情報が多すぎず少なすぎずで美しく、集める楽しみもあります。
凄環研的にはイルカが居なくて少し残念というのもありましたが、総合的にはやはり一流の水族館。
広さも丁度良く、非常に満足でした。
あ、そうそう。
折角福島に来たのですから何か喰わねばと、向かい(ちょっと遠く)にある観光センターみたいな所で、地元グルメを満喫しました。
そりゃあもう、さっき出てきたメヒカリとか、サザエとかラーメンとか、アイスとか揚げカマとかを、それこそ胃の許容量オーバーするまで!
〜Fin〜