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面接奮闘記1





雨降り





 その事件は、あまりに唐突に、しかし来るべくしてやって来た…。


 時は、1999年4月6日…。雨が桜を散らし、あたかもオイラの未来を、暗示しているかの様であったという…。


 オイラはその日、株式会社N●C(仮称)の1次面接を控えていた。社員100名を擁し、会計事務所関係の固い仕事をしている会社。オイラは、ここの会社に非常に興味があった。というか、平たく言えば大本命…。なのに、なのに、オイラの馬鹿!馬鹿!馬鹿!


 …ゲホゲホ…失礼。取り乱しました。

 えーと、どこまで話ましたか…。あーそうそう、オイラはね、大本命なのに何も対策を立てずに、そう…あたかも合同説明会を覗きにいくかの様に、フラッと出掛けてしまったんですなー。


 せめて、電車で移動中に、会社資料だけでも見ておけば…


 せめて、ある程度の質問を予測して、模範解答を作っておけば…





 せめて電車内で、ジャンプを読むのをやめておけば…



 まぁアホのオイラは、当時から酒を飲んでは言っていましたよ…

『面接なんて、等身大の俺を見てくれればいいんだよ!背伸びしてカッコいい回答をするのは、俺じゃないぜー!』


 確かにその通りかもしれません。しかし今なら、その根拠の無い自信に満ち溢れたオイラに言ってやれます。


『確かに正論だが、今からの君の等身大ってやつは…









 一寸法師程だよ。3.03cmね!』って…



一寸法師図

※ オイラの器、イメージ図




 会社に到着し、順番待ちすること約20分。

 この日のオイラの良かった所なんて、遅刻をしなかったことと、スーツを着ていたこと位だった…。この待ち時間に、オイラはもの凄い不安に襲われていた。何しろ、回答の準備どころか、面接の準備もしてきていない。ドアの開けかた、イスの座りかた、会話の仕方…。

 高校受験でつちかった、遠い遠い記憶(推定7年前)を探ろうと、オイラのカニ味噌大の脳みそは、カラカラと音をたてながら、頭の中をかけめぐった。



 しばしの待ち時間の後に、自分の番がやってきた。どんなことを言われても、冷静に対処しようと思った。
 『just,walk in the park!!(気楽に行こうぜ)』と心に誓ったとか、誓わなかったとか…。

 とにかくオイラは、悪夢のドアを開けた。


 そこに座っていたのは、優しそうな試験管殿。席に座ったオイラに、緊張を和らげようかという親切心か、試験官殿はこんな質問…いや日常会話を振ってきた。


『雨は、まだ降っている?』


 思えばこの何気ない一言が、今日のオイラには致命的だった。こんな幼稚園児でも答えそうな質問の答えが、分からないのだから…。



 それもそのはずだ。最寄駅から電車に乗って新宿、そこから丸の内線で中野坂上で降り、その駅はこの会社のビルのB1に続いているのだ。想像してみて欲しい。オイラは最寄駅から今の今迄、1度たりとも外に出ていないのだ。雨がどうかなんて、分かる訳がないのだ。

 それでも通常であれば、車窓からの景色をたまに見て、天気がどうかくらいの情報を得ているものである。しかし…




 オイラ…ジャンプ読んでいたし…


 アホみたいにジャンプに没頭していたオイラは、本日のお天気事情すら知らないのである。

 ドラゴンボールのストーリーは全部言えても、今の天気がどうなっているかも分からないお馬鹿は、就職できるわけないのである…


 とりあえず、何か言わなきゃという葛藤の後に、たとたどしい日本語で答えた。


『も、もう止みました!』


 とっさに答えはしたが、頭が真っ白になった。もう何も分からない…聞こえない…感じない…。

 試験官は、『さてと…』と一息ついて、モノ凄い質問を投げかけてきた(ように当時のオイラは感じた)。


『ビジョン説明会には参加してくれたみたいですね。どうでした?』


 一気に白い世界から、現実に戻された気がした。どう答える?どうする?説明会って言われても、最近立て続けに行ったから、どれがどれだかサッパリ分かんないぞ。

 良い答を言うべき?試験官、こっち見ているよ。目が恐いよ。…今夜のおかず何だろうなぁ〜?などという思いが、カニの脳みそをカラカラいわせる。



『あ…あの…その…』

『はい。』



『…む…難しいです…け…ど…』

『えぇ。』



『えっと…』



 この間、1分弱位だった。しかし、オイラには10分位に感られた。

 しかし次の瞬間、あまりの沈黙に耐えられなくなったカニ味噌は、とんでもないことを口走るのであった。



『えっと…その…か…か…



















感激しました!!


 ………。


 ………。


 ………。


 ………。


 オイラも、試験官の顔にも、ちびまる子ちゃんの、あのドーンという顔の線が入り、読心術など決して使えないオイラにも、『こいつ…恐ろしく馬鹿だ!』という試験官の心の声が聞こえた。

 そして、オイラを操縦してきたカブトムシ(頭の中に操縦席がある)が、『ふー、良い仕事した。』とか言いながら、手拭いで汗を拭いている絵が見えた。泣きながら言いたい、この馬鹿カブトムシ!!と。



カブトムシ図

※ カブトムシ先生、イメージ図




 もうその日は、それから何を話したか覚えていない。ただ

『君は、営業には興味無いの?』

 と聞かれた気がする。



 会社を出ると、新宿の街は、まだまだ雨の止む気配は無かったという…。







 教訓1・自分が行った説明会の復習くらいしておけ。

 教訓2・緊張もたいがいにしろ。

 教訓3・ジャンプは家で読め
      っていうか、電車で暇って発想が、そもそもNGだろ。




    


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